サイナスリフト
(Sinus Lift)
サイナスリフトとは
サイナスリフトは、上顎の臼歯部(奥歯)の骨が不足している場合に、上顎洞(サイナス)を持ち上げて、その空間に骨補填材を入れて骨を増やす手術です。
インプラントを埋入するための十分な骨がない場合に、インプラントの固定力を確保する目的で行われます。
サイナスリフトのメリット
1. インプラント治療が可能になる
骨が不足していても、サイナスリフトによりインプラント埋入が可能になります。
2. 安定性の向上
骨を増やすことで、インプラントの安定性が向上し、長期的な成功率が高くなります。
3. インプラントを行える範囲の拡大
従来はインプラントが難しいとされていた上顎の臼歯部にも対応できるようになります。
サイナスリフトのデメリット
1. 外科手術が必要
他のインプラント手術よりも侵襲的で、外科的な手術を伴うため、患者さんの負担が大きい場合があります。
2. 治癒期間が長い
手術後、骨が再生するのに数か月かかることがあり、その間はインプラントができない場合があります。
リスク
感染症や上顎洞膜の損傷などのリスクがあります。
サイナスリフトの対象となる方
- 上顎の骨が薄く、インプラント埋入が難しい方。
- 上顎洞が大きく、骨の高さが不足している方。
- 以前に歯を失ったために骨が減少してしまった方。
ソケットリフト
(Socket Lift)
ソケットリフト(Socket Lift)
とは
ソケットリフトは、サイナスリフトと同様に上顎の骨を増やす手術ですが、サイナスリフトよりも小規模な手術です。上顎洞に近い部位に少しの骨しかない場合に、インプラントを埋入する際、ドリルで骨を削ってインプラント用の穴を作ると同時に、上顎洞の粘膜を持ち上げ、その空間に骨補填材を入れる方法です。
インプラントについてソケットリフトのメリット
1. 小規模な手術
サイナスリフトよりも侵襲が少なく、回復が早い。
2. 手術が1回で済む
インプラント埋入と同時にソケットリフトを行うことができるため、手術の回数が少なくなります。
3. インプラントの成功率向上
骨の厚みを補うことで、インプラントの固定が安定しやすくなります。
ソケットリフトのデメリット
1. 限定的な骨量補充
サイナスリフトほど大きく骨を増やすことができないため、骨不足の程度が大きい場合は不適切です。
リスク
上顎洞膜の損傷や感染のリスクはサイナスリフトと同様に存在します。
ソケットリフトの対象となる方
- 上顎の骨が少し不足しているが、サイナスリフトほど大規模な処置が必要ない方。
- インプラントをすぐに埋入したい方。
- 骨の高さが5mm以上ある方。
サイナスリフトと
ソケットリフトの違い
手術の規模
サイナスリフトは大規模な手術で、骨が極端に不足している場合に行います。一方、ソケットリフトは比較的小規模な手術で、軽度の骨不足に対応します。
治療期間
サイナスリフトは骨が再生するのに数か月必要なため、インプラント埋入まで時間がかかりますが、ソケットリフトはインプラントと同時に行える場合が多く、治療が早く進みます。
適用範囲
サイナスリフトは骨の高さが2~3mm程度しかない場合に適用され、ソケットリフトは5mm以上の骨が残っている場合に適用されます。
まとめ
サイナスリフトとソケットリフトは、上顎にインプラントを埋入する際の骨不足を補うための処置です。サイナスリフトは大規模な骨補填が必要な場合に適しており、ソケットリフトは軽度の骨不足に適しています。
どちらの方法もインプラントの成功率を高めるための重要な手術ですが、患者さんの状況に応じて選択されます。